キリストの誕生を祝うクリスマスは、宗教が生活の隅々まで行き渡っていた当時、一年で一番大切な日でした。今日、クリスマス料理と言えば、七面鳥の丸焼き dinde rôtie や生牡蠣 huîtres(フランスでは牡蠣といえば生牡蠣です)、フォアグラ foie gras、ビュッシュ・ド・ノエル bûche de Noël など定番が広く行き渡っていますが、中世にはまだ「定番料理」といえるほど広がったものはなく、「クリスマスには普段食べられないような贅沢な料理をたくさん食べる」という習慣が一般的だったようです。
ただ、そうした贅沢な料理のなかで、地方によって比較的よく食べられたという料理が伝えられています。本CSフランス語講座では、こうした中世料理を集めてコースに編成し、各料理のレシピを聴講生の間で分担して訳しました。
訳してみると、現代では使われていない材料やスパイスも多く、どんな味がするのか想像がつかないものもあります。そのレシピに従って実際に作ってみると(レシピには、実際に作ってみたときのコツなども所どころコメントされています)、どれも「意外と簡単で、美味しい!」すでにわが家の定番料理になったものもあります。 読者の皆さんも是非トライしてみてください。
訳してみると、現代では使われていない材料やスパイスも多く、どんな味がするのか想像がつかないものもあります。そのレシピに従って実際に作ってみると(レシピには、実際に作ってみたときのコツなども所どころコメントされています)、どれも「意外と簡単で、美味しい!」すでにわが家の定番料理になったものもあります。 読者の皆さんも是非トライしてみてください。
フランス語の原文はこちら:Menu médiévale de Noël
ブダンブラン Boudin blanc
ブダンブラン Boudin blanc
- 牛乳:1.5リットル
- 生クリーム:200cc
- パン粉:100g
- 鶏の胸肉またはササミ:200g
- 片栗粉
- 塩
- 香辛料(粉にしたものを混ぜたもの)
- ショウガ:小さじ1/2
- シナモン:小さじ1/2
- ナツメグ:小さじ1/2
作り方
- 温めた牛乳500ccにパン粉を浸します
- 牛乳1リットルに生クリーム200ccを鍋に入れて弱火で温めます。ことことしてきたら鶏肉とハムを一口大に切って入れ、浸しておいたパン粉をフォークでつぶして鍋に加えます。
- 30分弱火で煮て、どろっとした状態になったら火を止めます。ポタージュの状態がうすいときは片栗粉で濃くし、濃すぎるときは牛乳で調整します。塩で味を調えます
- 深皿に入れたら香辛料を一気に振り入れます
コツ
- お鍋の底からゆっくりかき混ぜながら30分間煮ると、なめらかな白いポタージュができあがります。
- 鶏肉は火が通ったら引き上げて、最後に温めなおすくらいが美味しくいただけます。
- ハムは塩気やコクを引き出すのですが、鶏肉同様やはり途中で引き上げた方がいいようです。
(パスタ生地)
またはドライイースト:8g
(スパイスミックス)
- カルダモン:小さじ1
- ナツメグ:小さじ1
- 胡椒:小さじ1/4
- シナモン:小さじ1/4
作り方
- 生酵母は少量の水(分量内)で湿らせ、10分くらいおく。ドライイーストの場合は表示にしたがう。
- 1を小麦粉と混ぜ、塩を溶かした残りの水を加える。
- パン生地の要領で10分間、なめらかで弾力が出るまでこねる。包丁で切ると、断面に小さい穴がたくさん見られるような状態。1時間暖かいところで寝かせる。
- 台に打ち粉をふり、生地を1.5ミリ厚に伸ばし、一辺5センチの正方形に切り、上からもう一度粉をふっておく。
- 塩(分量外)を溶かし準備しておいた湯に油を少し入れ、④を粉気が残らないように、2〜3分ゆでる。
- 大きめの深皿に⑤を1段ならべ、パルメザンチーズをたっぷりふりかけ、胡椒を胡椒挽きで2、3回挽く。その作業を何度か繰り返し、最後にパルメザンチーズとミックススパイスで厚めの層を作る。
- パテを湯からあげる時は、あまり湯切りせず表面に水分が残るようにすると、チーズやスパイスとよくなじみます。
新納繭子
- 中世のお料理体験3回目。今回はクリスマスがテーマですが、当時、特にノエルのお料理はあまり存在しなかったとか。ご馳走感覚のルセットはどれも茹でたり煮たりの軟らかさで、お腹に優しい美味しいお料理でした。
- ラザニアは生地作りから。パンのように生地を捏ね、1.5mm厚さに伸すために定規を当てながらの作業でしたが、粉をたっぷり振ることで薄く伸ばすことができました。茹で上げてお皿に重ねるところを丁寧にしたいところです。パルメジャーノとスパイスの層をもっと多くした方が、切り口の見た目も良いかもしれません。どこまで、熱々のままサーブできるかが勝負ですね。
- 一緒に作ったお料理のBudin blanc を、ラザニアと合わせていただくと美味しいです。
鈴木眞利子
干し果物入りのチキン・アンブロワジーヌ
Ambroisine de poulet aux fruits secs
Ambroisine de poulet aux fruits secs
- 鶏肉 1羽分
- 豚の脂身 80g
- タマネギ(大きめ)2個
- 干しプラム8個
- ナツメヤシの実(デーツ)10個
- パン2切れ
- 白ワイン200cc
- 酢50cc
- ブイヨン100cc
- シナモンスティック数本
- クローブ 3本
- ナツメグ・パウダー少々
- 皮をむいたアーモンド50gと水500ccでつくったアーモンドミルク(作り方は本ページ末尾をご覧下さい)
作り方
- パンを焼き、耳を切り落として身だけにし、砕いたものを白ワイン100ccに浸しておく。
- 鶏肉を適当な大きさに切り、豚の脂身を溶かした鍋にタマネギといっしょに入れて炒める。
- アーモンドミルクに白ワイン100ccとブイヨンを混ぜる。
- 鶏肉に薄いキツネ色の焼き目が付いたら、塩、3、包丁で大きめに割ったシナモンスティック、クローブを加え、約30分煮る。
- 煮終わる少し前に1、酢、ナツメヤシの実と干しプラム(いずれも種を除いたもの)、ナツメグ・パウダーを入れ、煮汁にとろみが付いたら火を止める。味見をし、必要に応じて調味料を足す。
- 鍋からナツメヤシの実とプラムを形が崩れないように取り出し、お皿に盛りつけた鶏肉の周りに飾り付け、鍋のソースをかける。
講師M
アーモンドミルクを使ったリンゴのムース
Mousse de pommes au lait d'amandes
- 熟したりんご800g(生のままで大きいものなら4個)
- 水800cc
- 薄皮付きのアーモンド200g(うち4個はビター・アーモンド)
- 砂糖50g
作り方
- 薄皮を取ったアーモンドを沸騰したお湯に15分間浸けます。あるいは前の日に熱いお湯に浸けておいたものでもよく、一晩浸けたものはもっとやわらかくなるでしょう。リンゴの皮をむき芯を取って四つ切りにします。
- お湯を沸かして、沸騰したらリンゴを入れます。りんごがすきとおるまで、 10分から15分間煮ますが、くずれるほど煮てはいけません。煮えたらお湯を切ります。
- 薄皮を取ったアーモンドをミキサーにかけ、2のりんごの煮汁を少しずつ加えてのばし、白く濃い液体を取ります。この液体を2、3度ガーゼで漉し、残ったピュレ状のアーモンドをさらに手で絞って、できるだけ沢山のミルクを取ります。ふつうのアーモンドミルクより濃い目にします。
- リンゴをまな板の上でこまかく刻むかミキサーにかけますが、この時、液状になるほど長い時間かけてはいけません。アーモンドミルクを火にかけて、こまかくしたりんごと砂糖を加え、泡立器でかきまぜながら15分弱煮たあと、冷やしてから出します。
今津頼枝
シエナ風フラン Flan Siennois
- 湯剥きしたアーモンド 10粒
- 砂糖 80g
- 卵 6個
- 牛乳 250ml
- よく水を切ったフロマージュ・フレ(サンフロランタンまたはモッツァレラ・タイプのもの) 大さじ2
- ローズウォーター 50cc
- シナモンパウダー 6g
- 塩 ひとつまみ
作り方
- ブレンダーにかけてアーモンドを挽く。
- 丁寧にチーズをつぶす。
- アーモンド粉、砂糖、シナモン、卵、牛乳を一緒に一つのボールに入れて泡立て、その後つぶしたチーズを追加する。塩を混ぜる。
- 縁の高い型にバターを塗り、打ち粉をする。
- そこに3を注ぐ。
- 弱火のオーブン(150~170℃)で45分加熱する。
- 冷めたら(できれば)型をはずす(壊れやすいです)。
- ローズウォーターを振りかけ、砂糖を振る。
*アーモンドは粉末のものを使用しました。
**チーズが手にはいらなかったのでモツァレラタイプを裏ごしして使用しました。
鈴木眞利子